身近なところで毎日を支える木
現代の私たちの生活の中でも、木材は身近なところでたくさん使われています。日本の建築文化の中の長い歴史を経験の中で受け継がれた木の特性を生かす技術が、安全な住宅環境をつくり出しているのです。
今でも木の特性をもっと引き出し、日常生活に役立てるため、木材の新しい利用方法の研究が進められています。
いざという時の衝撃をやわらげる木材
転んだ時、直接頭や顔を打った経験がある方も多いのではないでしょうか。その時、頭が地面や床に叩きつけられるスピードはなんと秒速4~6m、その最大衝撃力は200kgf以上、なんと大きな相撲取りの体重と同じくらいの衝撃力になります。床が木でできていて助かっているかもしれませんね。こんなところでも、他の素材より衝撃吸収力のある木材の特性が生かされています。
問題は火災が起きたとき、いかに被害を最小限にくい止めるか
木材は断面が厚くなれば熱が中まで伝わらず燃えてしまうまで時間がかかります。鉄は、薄く強い代わりに火や熱によって短時間で温度が上がり変形してしまいます。木造住宅が「火に強い」といわれるのは、大きい断面をもった木材になると、表面に着火しても、表層に炭化層ができ、それが断熱層の役割を果たし、燃焼の進行は遅く、燃えても短時間で崩れることがなく、いざという時、避難時間や消火活動の時間が十分に得られるからです。
日本の気候を考えると、夏涼しく冬暖かい住宅が理想です。木材の持つ断熱性と調湿性をうまく使うことが快適住空間の実現につながります
コンクリート造は冬暖かいのですが夏は外気温と同じ室温になってしまいます。木造住宅は外気温と比較した時、夏涼しく冬暖かいということになります。また私たちが感じる「暑さ」や「寒さ」は温度だけではありません。湿度も体感温度に影響しています。その湿度を適度に調節する木材の調湿性も、毎日を快適に過ごすためには欠かせません。
財団法人日本木材総合情報センター”人と環境にやさしい木のはなし”より